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    APEXと現実世界での仕事の繋がり、新卒採用について

    昨日の深夜、Twitterで「勇気ちひろがAPEXでソロマスに到達した」というツイートを見た。

    僕はAPEXを全くやっていない(インターネットライフの99%をMacで過ごしている)のでそれがどれくらいすごいことなのか分からないけど、とりあえずめでたいニュースだと思ったのでこの場で「おめでとう!」と言っておこうと思います。

    さて、僕には2人弟がいて、下の弟と同居している。彼は今大学3年生の春休みで、就活真っ盛りの時期だ。

    しかしこの弟、コロナ渦になってからというもの家では毎日APEXとウマ娘ばかり。日中にはバイトに出かけており、どうも勉強や就活に向けて精力的に取り組んでいるようには見えない。

    まー僕の大学生活も人のことを言えないくらいにはグッダグダだったのでなんだけども、それでも心配しちゃうのが家族ってもんである。

    そういうことで、「APEXに関するめでたいニュースを手に入れたことだし、雑談ついでにいっちょ説教かましてやるか」というクソお節介ムーブをキメに弟の部屋に向かったわけです。

    僕「勇気ちひろがソロマス行ったらしいね」

    弟「知ってる」

    僕「それってどれくらい凄いことなの?」

    弟「うーん… 具体的な定義は難しいけど、プレイ人口で言うと上位0.4%くらい」


    なるほど、すごそう (小並感)

    話を聞いていると、どうやらこんな感じらしい。

    • APEXには現在週1以上の頻度でプレイしているプレイヤーが1300万人いる
    • 上位750人がプレデターランク、上位0.4%がマスターランク、他は順にダイヤ、プラチナ、…というようにランク分けされている
    • 弟は2つ前のシーズンでダイヤに到達して、今はダイヤIVというグループにいる
      • ダイヤは上位6%くらい

    なるほど。上位N%という分類だとちょっと分かりにくいので「高校生が受ける全国模試の偏差値」みたいな身近な尺度に置き換えてみる。大体マスターが偏差値76~77くらいで、ダイヤが偏差値65くらいのイメージかな。

    …めっちゃすごいじゃん

    僕「APEXがうまい、強いってどういうことなんだろう」

    弟「殴り合いの強さと、立ち回りのうまさと、チームワークじゃない?」

    僕「それらってもっと分解、構造化できそうだよね。分析できたら上達が早まるかも」


    どうやら、APEXというのは「3人の20チームでバトルロワイヤルをする」「最後の1チームになるまで生き残ったら勝ち」というゲームらしい。

    弟のいう「殴り合いの強さ」というのはつまり「正面戦闘のときにDPSが高い方が有利」ってことだろう。「立ち回りのうまさ」ってのは「1人の敵を2人以上で殴るようにする」とか「不意打ちができる位置に陣取る」とか、もっと深入りすると「そういうことがやりやすい位置へ戦略的に移動する」みたいなものが含まれるのかな、という想像をした。

    弟は殴り合いの強さにはそこそこの自信があるらしい。ランク戦でのキルレが2を越えているそうだ。1試合あたりの与ダメージもかなり高いとのこと。しかしチーム戦での勝率が高いわけではない。

    これは分析しがいがありそうだ。解析系ゲーマーとしての血が騒ぐ音がした。

    (昔、インフレクエストというスマホゲーでランキング1位を取ったり、とある格ゲーでルールベースの自動操作ツールを実装してランカーのリア友と戦わせたりしたことがある)

    戦術、戦略とそれを実現するためのチームプレイについて考える

    Section titled “戦術、戦略とそれを実現するためのチームプレイについて考える”

    僕「殴り合いはめっちゃ調子良かったのに負けた、って試合はどんな進行だった?」

    弟「最後のサークルでポジション取れなかったりしたときかな」


    やはり、APEXにはそういう戦略的な視点が必要なようだ。常に有利な位置を確保し続けるという目標を達成するためには、「近くの敵を適切にシバく」ことより更に高いメタ階層での思考が必要になる。

    どのようにその思考をするか、その思考を実現するか。個人でのシバき合いとは違い、これを実現するためにはチームでのコミュニケーションは必須になるだろう。

    弟はそのあたりの重要性もきちんと認識しているようで、文章にしたらこの記事2本分になろうかというエピソードを語ってくれたりした。(割愛)

    どうやら弟は「戦略的な行動を実現するためのリーダー」としての役割が性に合ってると自覚しているようで、その性向に従って能力を伸ばすにはどうすればいいか、よいリーダーとなるためにはリードだけではなくフォローする視点が必要なのではないか、みたいな議論を沢山した。(割愛)

    個人スキルによる役割分担について考える

    Section titled “個人スキルによる役割分担について考える”

    僕「ポジションを取るにも挟みうちにするにも個人技は重要になると思うけど、チームメンバーのレベルを把握するための指標はあるの?」

    弟「あんまりないんだよね… 称号でアピールすることはできるけど、戦績を細かく見ることができないのでよく想定が外れるんだよな」


    現実世界でもあるあるですよね。「その人がどれくらいの仕事ができるか期待値を設定すること」「その想定が外れた場合に対処を考えること」みたいなことは、特にチームマネージャーをやっている人にとっては日常的に考えうる問題の1つなんじゃないかと思う。

    APEX、あなどれないな。現実世界での仕事とリンクする概念がかなり沢山あって、とても面白い。

    新卒の書類、面接で求められること

    Section titled “新卒の書類、面接で求められること”

    話がガラっと変わるが、新卒の就活について。記事長くなりすぎちゃうので強引にまとめへ流していく。

    新卒採用では、一般的に高度な専門スキルは求められない。代わりに、「高い言語能力」や「問題解決のための汎用的な思考プロセス」を備えているか、それをどのように実践で感じ、課題を認識し、改善してきたかというエピソードが求められる。

    また、そのような能力アピールやその会社を選ぶ理由を嫌味無く、お互いに楽しいと思えるような進行で伝えるコミュニケーション能力も重要だ。

    僕は「ゲームを本気でやる」ことは「問題解決のための汎用的な思考プロセス」を育てることと強く関連していると思う。ゲームを本気でやることは社会人としての個人技のレベルを高めることに必ず繋がっていると確信している。

    僕らは学生に対して「ゲームばっかりやってないで真面目に勉強or就活しなさい」ではなく「ゲームをやるなら本気でやりなさい」と言うべきなんじゃないだろうか。

    ゲームを本気でやるということ

    Section titled “ゲームを本気でやるということ”

    「ゲームを本気でやる」とは「ゲームで勝つためにルールの範囲内であらゆる努力をする」ということだ。「ルールの範囲内であらゆる努力をする」ということは、現実世界の仕事において高い成果を上げるための指針と共通している。

    例えば、APEXでは「勝つ」ために色々な技術要素を高いレベルで修める必要があると思う。

    • 撃ち合いという文脈での個人技
    • 多対多での戦闘における、1対1から1つメタな階層に上がった戦術的な視点で行動を計画する能力
    • さらにメタ階層を上げた、時間によって変化する有利ポジション確保のための戦略的な視点での考察力
    • チームメンバーの個人技のレベルを把握した役割分担を考えること
    • 上記を統合した行動計画の策定と、それを伝えるためのコミュニケーション能力
    • それぞれの視点での思考に単位時間あたりの集中力を配分すること
    • 集中力と思考速度を高いレベルで保つための肉体的、精神的なケア

    ゲームの腕を上げるために上記のように技術要素へゲームシステムを分解する思考プロセスはどんな仕事においても役に立つし、なんならAPEXの場合はそれぞれの要素が「スモールチームのチームマネジメント」「プレイングマネージャーとしての立ち回り」みたいなテーマと絶妙にマッチしているように見える。

    ゲームに本気で取り組む経験は必ず経済社会を生きる1人の人間としての能力にプラスになるので、人生を壊さない程度に本気で取り組んでみるのはよいことだと思う。

    弟とはAPEXの話をした後に直球な就活の話もした。彼も色々考えて努力しているようなので、今回のような話がプラスになって更にいい結果が出るようになるといいなと思う。

    実は弟はバイトで接客業をしていて、英語を使って外国人を接客するとか、売り上げを上げるために自分でPDCAを回すみたいなネタになるエピソードをいくつか持っていたりした。強いじゃん。僕が就活してたときよりネタ多いよ。

    最後にアドバイスしたのは、「自分の性格的な特性を理解すること」と「相手を立てること」、そして「内定が出た会社の中で一番社員や面接官の言語能力が高いと感じたところを選べ」の3つ。

    人の性格は色んな言葉で表現されうるけど、こと性格については長所と短所は裏返しの関係にあるということを意識しておいた方がいい。よくある「自分の長所と短所を教えてください」という質問のときにそれを踏まえた回答ができないと、「自己分析が足りてないな」「発言が矛盾しているな」と感じさせてしまうような違和感が出てくるのではないかと思う。

    相手を立てることはシンプルな話で、ある会社を受けるならその会社が第一志望だと根拠を持って言えるくらいのストーリーを用意しておけということだ。面接官もそれが虚構である可能性はちゃんと承知している。「そういう理屈を立てる能力があるか」を見ているだけなので、そこで正直さを前面に出して変なことを言うのは単純に損である。

    「内定が出た会社の中で一番社員や面接官の言語能力が高いと感じたところを選べ」というのは働き始めた後にそれが長続きするかに関係する。周囲と言語能力に差がないような環境にいるかどうかでストレスは大きく違う。学生は結局現場の実情について詳細に把握することはできないが、面接官やOB訪問の担当者の言語能力は自分が集めることができる情報の中で意外と大きな重要性を持つ情報だ。重要性を認識し、そこに注意すること。

    弟だけじゃなくて、今就活に取り組んでるすべての人にエールを。